日曜ドラマ『真犯人フラグ』の考察合戦が繰り広げられていますね。
全ての登場人物が怪しく見えてしまいますが、真犯人につながる伏線が多数散りばめられていますよね。
中でも話題になっているのは、相良凌介のデスクに掛かっている太宰治の小説『ヴィヨンの妻』のキーホルダーが何かのヒントなのでは?と注目されています。
さらに、生駒里奈さん演じる謎の女・本木陽香の登場シーンに出てくる「らっきょう」というキーワードが太宰治の小説『秋風紀』と関係があるのでは?との考察も出ています。
『ヴィヨンの妻』と「らっきょう」は太宰治の小説と関連があるのか?ネタバレ含む考察をしていきたいと思います!
Contents
『ヴィヨンの妻』のキーホルダーは伏線?
西島秀俊さん演じる主人公・相良凌介の職場である亀田運輸のデスクに掛けてあるキーホルダーに注目が集まっています。
拡大してみると、太宰治の小説『ヴィヨンの妻』のキーホルダーだということがわかりました。
相良凌介は大学時代に文芸サークルに入っていたこともあり、小説との関係が深いという前提があります。
サークル仲間の日野渉、河村俊夫とのシーンでは「相良先生こそ、小説書いてくれないんすか?サークルの中でお前の才能み認めてないのはお前だけなんだぞ!」という場面がありました。
相良凌介は小説家としての成功を期待されていたということではないでしょうか?
小説のストーリーが『真犯人フラグ』の物語でも重要なことを示している可能性は高いと考えられます。
太宰治の小説『ヴィヨンの妻』あらすじは?
太宰治の小説『ヴィヨンの妻』は松たか子さんと浅野忠信主演で映画化もされている作品です。
太宰治の小説『ヴィヨンの妻』は何を示しているのでしょうか?
「ヴィヨン」は詩人・フランソワ=ヴィヨンで遊び人だった
『ヴィヨンの妻』のタイトルにある「ヴィヨン」とは、フランソワ=ヴィヨンという15世紀フランスの詩人です。
ヴィヨンは女と酒が好きな遊び人であり、強盗傷害事件を起こす犯罪者でもありました。
『ヴィヨンの妻』あらすじ
大谷はその才能とは裏腹に、お酒を飲み歩き、借金を重ね、妻以外の女性とも深い関係になってしまう破滅的な生活を送っていた。ひょんなことから夫の借金を返すために飲み屋・椿屋で働き始めた佐知は、あっという間にお店の人気者になり、日に日に輝きを増していった。そんな佐知は、常連客の一人、大谷ファンの青年・岡田(妻夫木聡)や昔佐知が振り向いてもらえなかった弁護士・辻から好意を寄せられるのだった。見違えるように美しくなっていく佐知に嫉妬する大谷。そして大谷は、書くことそして生きることに苦悩し、愛人の秋子(広末涼子)と心中未遂を起こしてしまう。それを知った佐知は……。
引用元:東宝
太宰治は遊び人の主人公をヴィヨンと重ね、「ヴィヨンの妻」、つまり、遊び人の妻の視点で描かれた物語です。
ヴィヨン(遊び人)=相良凌介、ヴィヨンの妻=相良真帆?
相良凌介のデスクに置かれている『ヴィヨンの妻』のキーホルダーは、相良凌介=ヴィヨン(遊び人)を示唆しているのでしょうか?
- 「大谷はその才能とは裏腹に」
- 「お酒を飲み歩き、借金を重ね」
- 「妻以外の女性とも深い関係」
- 相良凌介は文芸サークルで一目置かれる文才があった
- 酒に溺れ、借金がある??
- 相良凌介は不倫している?
この『真犯人フラグ』の主人公は相良凌介ではなく、”ヴィヨンの妻”である相良真帆(宮沢りえ)の目線から描かれる物語なのかもしれません。
本木陽香の「らっきょう」は太宰治の小説?
もう一つ、太宰治の小説との関連が疑われることがあります。
謎の女・本木陽香の登場シーンです。
本木陽香は相良凌介を誰かと「人違い」をしたということになっていますが、「らっきょう、どうしました?」という謎の言葉を残しています。
太宰治の小説『秋風記』あらすじは?
太宰治の小説『秋風記』あらすじ
- 主人公「私」(小説家の男性)と「K」の物語
- 「K」は「私」よりも2歳年上の女性で人妻、子持ち
- 幼馴染で家族同然の2人は「生れて来なければよかった」と思っている
- 小説が書けなくなった「私」は「K」と温泉旅行に
- 「私」は「K」に青銅の指輪を贈るが「K」はお返しに子供の写真を送った
主人公の「私」は太宰治本人を描いていると考えられます。
「生れて来なければよかった」と思っている、つまり心が病んでいる状態から人妻で子持ちの「K」と心を通わせることで少しずつ闇から抜けようとしていましたが、結果として「K」にやんわりと断れることで再び闇に潜っていく…というお話です。
この『秋風記』の小説の中に、「らっきょう」が出てくるのです。
「Kは、僕を憎んでいる。僕の八方美人はっぽうびじんを憎んでいる。ああ、わかった。Kは、僕の強さを信じている。僕の才を買いかぶっている。そうして、僕の努力を、ひとしれぬ馬鹿な努力を、ごぞんじないのだ。らっきょうの皮を、むいてむいて、しんまでむいて、何もない。きっとある、何かある、それを信じて、また、べつの、らっきょうの皮を、むいて、むいて、何もない、この猿のかなしみ、わかる? ゆきあたりばったりの万人を、ことごとく愛しているということは、誰をも、愛していないということだ。」
Kは、私の袖そでをひく。私の声は、人並はずれて高いのである。
私は、笑いながら、「ここにも、僕の宿命がある。」引用元:青空文庫
『ヴィヨンの妻』にせよ、『秋風記』にせよ、共通しているのは、
- 主人公は闇を抱えている
- 主人公は不倫をしている
という点ですね。
相良凌介が真犯人なのか?
これまでのことを踏まえて、本木陽香の登場シーンを振り返ってみましょう。
- 「先生!」と呼んで近づいてきた
- 小説家と編集者の関係?
- 「ひどいですよ、酔っ払って駅に放置とか」
- 酒をよく飲む、遊び人?
- 「らっきょう、どうしました?持って帰りました?」
- 太宰治『秋風記』?
- 「人違いでした」
- 相良凌介は記憶喪失?
このやりとりを深読みすると、
- 相良凌介と本木陽香は小説家と編集者という関係だった?
- 酒に溺れ、本木陽香とは不倫関係にあった?
- 多重人格?記憶喪失?のせいで人違いということにした?
「人違い」とするには長時間間違いすぎなんですよね。
相良凌介は多重人格か記憶喪失など何らかの理由で本木陽香に気づかなかったという可能性も考えられます。
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まとめ
- 相良凌介は文芸サークルに所属しており、文才がある
- 相良凌介のデスクの太宰治『ヴィヨンの妻』のキーホルダーが重要なヒントの可能性
- ヴィヨンは酒と女好きの遊び人
- 「らっきょう」は太宰治『秋風記』に登場するキーワード
- 『秋風記』は不倫旅行
- 相良凌介が真犯人の可能性
伏線が貼られすぎていてもう全てが怪しく見えてしまいますね。
2クールに渡る放送となりますので一つずつ謎を解いていきたいと思います。
3話でも『ピエールとライオン』という絵本がキーワードになりました。
やはり文学に関する伏線が散りばめられているようですね。
今後の『真犯人フラグ』の展開にも注目していきたいと思います。